FETモジュール MP4212を使用したモータドライバ
Nch MOS FETとPch MOS FETで構成するモータドライバ
PICなどのマイコンの入出力ポートの最大定格電流は20mA程度であるため,マイコンの制御信号を直接使用して直接モータを回転させることはできません. ゆえに,マイコンの制御信号でモータの回転を制御するためには,何らかの制御信号の増幅回路が必要となります.これが一般にモータドライバと呼ばれている回路です. 本ページでは,FETを使用してモータドライバを構成した例を紹介したいと思います.
ここでは詳細な回路動作などの説明は割愛して,とりあえず動くモノを作ることに重点を置きました. ここで紹介する回路は最大定格電圧12Vの鉄道模型(Nゲージ)のモータ制御のために製作したものですので,大抵の小型モータであれば制御することが可能だと思います.
ホビー用途のHブリッジ回路製作に最適!FETモジュール MP4212
FETでHブリッジ回路を構成しようとした場合,最低でも4個のFETが必要になります. 今回は極力部品点数を少なく,比較的簡単に製作できる設計にしたかったので,東芝のFETモジュール MP4212を採用することにしました. MP4212には,NchとPchのFETが各2個ずつ合計4個のFETがパッケージされており,Hブリッジ回路の構成に適していると思います. 小型のパッケージですが,比較的大電力を高速にスイッチングできるほか,4Vからの駆動に対応しており,ホビー用途には嬉しい仕様ではないかと思います. MP4212のデータシートはインターネット上からダウンロードできます.
参考文献
モータドライバの設計・製作にあたり,下記のWebページを参考にさせていただきました. リンク先では一般的なFETを4個使用してモータドライバを構成されていますが,これをMP4212に置き換えることにしました.
回路
回路図
回路図を下に示します.部品点数も少なく,実装面積をコンパクトに収めることができそうです. 電源電圧は12Vで,マイコンからの制御信号の電圧は5Vを想定しています. 信号線は2本で,「正転」,「逆転」,「ブレーキ」の3動作を実現できます. この回路ではモータの2端子が開放状態になることがありませんので,「ストップ(フリー)」の動作はできません.

使用部品
下表に使用部品の一覧を示します.参考単価をクリックすると,秋月電子通商,共立エレショップまたはマルツパーツ館のページに飛びます. コネクタ類は,モータドライバの使用用途に応じて各自で変更してください.
番号 | 部品名 | 型番 | 数量 | 参考価格 |
---|---|---|---|---|
R1, R2 | 炭素皮膜抵抗 | 各社 1/4W 330Ω | 2 | 1円 |
R3 - R6 | 炭素皮膜抵抗 | 各社 1/4W 10Ω | 4 | 1円 |
C1, C2 | 積層セラミック コンデンサ |
村田製作所 50V 0.1µF | 1 | 10円 |
U1, U2 | フォトカプラ | 東芝 TLP250 | 2 | 150円 |
D1 - D4 | ファストリカバリ ダイオード |
PANJIT ER504 | 4 | 35円 |
Q1 - Q4 | FETモジュール | 東芝 MP4212 | 1 | 250円 |
基板 | サンハヤト 銅張積層板 17 | 1 | 572円 | |
ICソケット | 各社 丸ピン DIP 8ピン | 2 | 15円 | |
XAコネクタ | JST XAコネクタ ベース付ポスト サイド型 4P | 1 | 104円 | |
XAコネクタ | JST XAコネクタ ベース付ポスト サイド型 2P | 1 | 64円 | |
ピンヘッダ | 各社 I型 1列40ピン | 1 | 40円 |
完成
PWMによるモータの回転速度制御との相性も良く,約20kHzという高速なPWM信号でもスムースにモータの回転速度を変化させることが可能でした. 20KHz付近になると可聴域の上限に近いので,モータの動作音は大変静かに感じられます.


